迎え火・送り火のやり方|マンションでの代用方法も解説

お盆の入りの夕方、玄関先で小さな火を焚いている家を見かけます。
やっていることは単純で、素焼きの皿におがらを数本重ねて燃やすだけ、燃えている時間は3〜5分ほどです。
迎え火は13日の夕方に家の入口で、送り火は16日の夕方に同じ場所で焚いて、先祖をお迎えし、お見送りします。
ただしベランダや共用廊下での火気使用を管理規約で禁じている集合住宅では、この手順をそのまま実行できません。
本記事では、迎え火・送り火を焚く手順、そろえる材料、マンションでの代用方法、火の後始末までを解説します。

いい仏具編集部
「いい仏具」は、数珠・盆提灯・線香・位牌など、仏具の選び方と仏事マナーの実用情報サイトです。急に必要になったときに買える場所を、ダイソー・イオン・仏具専門店など身近な店の公式情報で確認して案内するほか、主要8宗派の作法の違い、素材の格と値段、修理・処分の方法、仏壇じまいや手元供養といった供養の変化まで、7つのジャンルで解説しています。価格や取扱状況にはすべて確認時点を明記し、変更を確認し次第更新しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
迎え火・送り火のやり方|玄関先で焚く手順
迎え火も送り火も、焚く場所は家の玄関先や門口です。
家の入口を先祖の目印にするという考え方なので、庭がある家なら門のそば、玄関が道に面している家なら三和土(たたき)の外側に皿を置きます。
日付は7月盆の地域と8月盆の地域で1か月ずれ、送り火を15日に焚く地域もあります。
日にちと時間帯の地域差は迎え火・送り火はいつ焚くかで解説しています。
迎え火を焚く
焙烙(ほうろく)と呼ばれる素焼きの平皿を玄関の外の地面に置き、おがらを10〜15センチに折って5〜6本、井桁に組むように重ねます。
マッチやライターで下側から火をつけると、炎は数分で落ち着き、あとは燃え尽きるまで見守るだけです。
燃えているあいだに家族で手を合わせ、「迷わずお帰りください」と心のなかで声をかけます。
地域によっては、この火を線香や盆提灯のろうそくに移し、その明かりを持って家に入り、仏壇や盆棚まで導きます。
盆棚をどう組むかは盆棚の飾り方と配置の基本で解説しています。
送り火を焚く
送り火は、迎え火と同じ場所に同じように皿を置いて、同じようにおがらを燃やします。
手順が変わるわけではなく、向きだけが逆になり、家から出ていく先祖の足元を照らすつもりで焚きます。
仏壇や盆棚のろうそくから火を移して玄関へ持ち出す形をとる家もあります。
火が消えたら、お供えや飾りを片付ける流れになりますが、片付ける日は地域で前後するのでお盆飾りを出す日と片付ける日もあわせて確認してください。
用意するものはおがら・焙烙・着火道具の3つ
おがらは、麻の茎から皮をはいで乾燥させた芯の部分です。
軽くて火つきがよく、煙が少なめで、燃え尽きたあとは白い灰になります。
麻には場を清めるはたらきがあるとされ、迎え火の燃料に使われてきました。
一束で数本から十数本入っていて、迎え火と送り火の2回ぶんなら一束で足ります。
買える場所と束の見方はおがらの使い方と買える場所で解説しています。
おがらを受ける皿が焙烙です。
素焼きなので熱に強く、直径15〜25センチほどのものがお盆用品として並びます。
おがらが一束数百円、焙烙が千円前後という価格帯ですが、これは2026年7月時点の目安で、サイズや店舗、時期によって変わります。
焙烙が手に入らなければ、素焼きの植木鉢の受け皿や、使っていない土鍋の蓋でも代わりになります。
金属のトレーを使うなら、底に砂や土を2センチほど敷いてください。
耐熱と書かれていないガラス皿や陶器の飾り皿は、急に熱が加わると割れます。
着火はマッチかライターで足りますが、風のある日はチャッカマンのように柄の長いものが扱いやすいです。
マンションで迎え火が焚けないときの代用方法
集合住宅では、まず管理規約を確認してください。
ベランダは避難経路を兼ねているため、火気の使用と物の常置を禁じている規約があります。
共用廊下や玄関ポーチも同じ扱いで、専有部分ではないので勝手に火は使えません。
禁止されている場所で焚けば、煙や火の粉が隣戸に流れて苦情の元になります。
電気式の盆提灯やLEDろうそくに置き換える
迎え火は、先祖が家を見つけるための目印として焚くものです。
目印が明かりであればよいと考えれば、火を使わずに玄関先へ明かりを置く形で代えられます。
電池式やコンセント式の盆提灯を玄関の内側に置いて、13日の夕方から灯す方法が取り入れやすいでしょう。
仏壇のろうそくをLEDのものに替えて、夕方に灯して手を合わせるだけでも、迎える気持ちは同じように示せます。
室内で小さく焚くときの条件
どうしても本物の火で焚きたい場合は、台所のシンクの中や、コンロの上に焙烙を置いて燃やします。
おがらは5センチほどに短く折り、2〜3本にとどめてください。
天井の火災報知器の真下は避け、換気扇を回しながら行います。
それでも煙で報知器が作動することがあるので、玄関先が使えないなら、無理に火を使わず明かりに替える判断で構いません。
迎え火・送り火の意味と、行わない宗派がある理由
迎え火は、あの世から戻ってくる先祖が家の場所を間違えないようにする目印として焚かれてきました。
送り火はその逆で、帰り道を照らす明かりです。
門口で焚くことから門火(かどび)とも呼ばれ、仏教の経典に定められた儀式というより、日本で育った風習として各地に残ってきました。
きゅうりの馬となすの牛を供える精霊馬(しょうりょううま)の意味と飾る時期も、先祖の行き帰りを支える道具という点で同じ考え方に立っています。
一方、浄土真宗では迎え火・送り火を焚かないのが基本です。
亡くなった方はすぐに阿弥陀仏のはたらきによって浄土で仏になると説くため、お盆に霊が家へ帰ってくるという前提を取りません。
お盆は歓喜会(かんぎえ)として、仏法に出会えたことを喜ぶ日と位置づけられます。
ただし地域の習わしとして形だけ続けている家もあり、扱いはお寺によって異なるので、迷ったら菩提寺に尋ねてください。
地域で変わる送り火|墓前で火をもらう風習も
焚く場所が玄関先とは限りません。
お墓で迎え火を焚き、その火を提灯に移して家まで持ち帰る「迎え提灯」の風習が残る地域があります。
この場合、13日の夕方に家族でお墓へ行き、線香をあげてから提灯に火を入れ、道中で消さないように歩いて帰ります。
墓前での手順そのものは通常の墓参りと変わらないので、お墓参りのやり方と作法もあわせて確認しておくと動きに迷いません。
送り火のほうは、地域全体の行事になっている例が知られています。
京都の五山送り火は山に大きな火を灯して精霊を送る行事ですし、長崎の精霊流しや各地の灯籠流しも、水辺から送り出す形の送り火にあたります。
こうした行事のある土地では、家庭で焚くかどうかも含めて地元の習わしが優先されます。
近所の家がいつ、どこで焚いているかを見ておくと、自分の家の段取りも決めやすくなるでしょう。
火の始末と、火災を起こさないための注意点
焚く前に、水を入れたバケツかペットボトルを足元に置いてください。
おがらの火は小さいものの、乾いた植木や玄関マットに火の粉が飛べば燃え移ります。
風速のある日は火の粉が横へ流れるので、日を変えるか、風の弱い時間帯にずらします。
焙烙は素焼きで、下から熱がそのまま伝わります。
アスファルトの上に直接置くと表面が溶けて跡が残り、冷たいコンクリートの上では急な温度差で皿が割れることがあります。
地面に耐火レンガを一枚敷くか、砂を盛ってからその上に置くと、地面も皿も傷めません。
火が消えたら、燃え残りに水をかけて完全に消します。
灰は熱が残っている状態で袋に入れると袋が溶けたり再発火したりするので、一晩置いて冷めてから片付けてください。
冷めた灰の捨て方は自治体で分別が分かれるため、お住まいのごみ分別の案内で確認します。
庭がある家なら、土にすき込んで戻す方法もあります。
焙烙は水洗いして乾かせば翌年も使えるので、送り火のあとにしまっておきましょう。
よくある質問
迎え火を焚き忘れました。翌日でもいいですか
翌日の夕方に焚いても差し支えありません。
お盆の期間中であれば、気づいた日に玄関先で焚いて手を合わせれば足ります。
すでに14日や15日になっているなら、迎え火は省いて仏壇や盆棚のろうそくを灯し、16日の送り火をきちんと焚く形でもかまいません。
おがらの代わりに割り箸や新聞紙を燃やしてもいいですか
割り箸は、折って束にすればおがらと同じように燃やせます。
乾いた木という点で性質が近く、代用として使われてきました。
新聞紙は炎が一気に立ち上がって灰が舞い上がるため、玄関先で燃やす素材には向きません。
使うとしても、おがらに火を移すための種火として小さくちぎった一枚にとどめてください。
雨の日はどうすればいいですか
屋根のある玄関ポーチの下に皿を移して焚くか、火を使わずに玄関の明かりや盆提灯を灯す形に切り替えます。
濡れたおがらは火がつかず、煙だけが多く出ます。
無理に焚こうとして軒下の壁際に近づけるほうが危ないので、雨の年は明かりで代えてしまってかまいません。
迎え火の皿は毎年買い替えるものですか
割れていなければ、洗って乾かし、翌年も同じ焙烙を使えます。
素焼きは水を吸うので、しまう前にしっかり乾かしてから新聞紙に包んでおくと、カビや欠けを防げます。
ひびが入った皿は熱で割れるため、そこで買い替えてください。
まとめ
迎え火・送り火のやり方は、焙烙におがらを数本重ねて玄関先で燃やす、それだけです。
迎え火は13日の夕方に先祖の目印として、送り火は16日の夕方に帰り道の明かりとして焚き、どちらも同じ場所で同じように行います。
焚いたあとは水で完全に消し、灰は冷めてから片付けます。
マンションでベランダや共用廊下の火気使用が禁じられている場合は、電気式の盆提灯やLEDろうそくを玄関先に灯す形に置き換えられます。
迎え火の役目は明かりで目印をつくることなので、火の有無で供養の気持ちが変わるわけではありません。
浄土真宗のように迎え火・送り火を行わない宗派もあり、地域やお寺によって扱いが分かれる点も覚えておいてください。
ぜひ本記事の焚く手順とマンションでの代用方法を参考に、今年のお盆の迎え方を家族で決めてみてください。




