盆棚の飾り方|配置の基本と宗派による違いをやさしく解説

仏壇の前に小机を出して真菰(まこも)のござを敷いたところで、手が止まります。
盆棚(ぼんだな)の飾り方は、段数ではなく奥から手前への並び順で決まります。
奥にご本尊と位牌、中ほどに供物、手前に精霊馬(しょうりょううま)や水の子(みずのこ)、左右に盆提灯という骨格は、三段でも一段の小机でも変わりません。
ただし位牌の並べ方や真菰の扱いには宗派と地域の差があり、図解どおりに置いても土地の慣習と合わない場合があります。本記事では、奥・中・手前の配置と位牌の並べ方、曹洞宗・真言宗・浄土宗での違い、一段でつくるコンパクトな盆棚を解説します。

いい仏具編集部
「いい仏具」は、数珠・盆提灯・線香・位牌など、仏具の選び方と仏事マナーの実用情報サイトです。急に必要になったときに買える場所を、ダイソー・イオン・仏具専門店など身近な店の公式情報で確認して案内するほか、主要8宗派の作法の違い、素材の格と値段、修理・処分の方法、仏壇じまいや手元供養といった供養の変化まで、7つのジャンルで解説しています。価格や取扱状況にはすべて確認時点を明記し、変更を確認し次第更新しています。
※本記事はAIの補助を得て作成し編集部が校正しています。
盆棚の飾り方は段数より「奥・中・手前」の順で決まります
図解を検索すると三段組みの絵が並びますが、三段でなければいけないという決まりはありません。
盆棚は、帰ってきたご先祖をお迎えして食事と休息の場を用意するという考え方でできているので、奥がご先祖の座、手前がお参りする人の側という前後の関係さえ崩れなければ、段数は家の場所に合わせて構いません。
図解を見るときも、段の数を数えるのではなく、何が奥で何が手前かを確かめてください。
奥はご本尊と位牌の場所
いちばん奥、三段なら最上段の中央にご本尊(掛軸または仏像)を安置し、その手前または両脇に位牌を置きます。
仏壇の扉を開けたまま、仏壇のご本尊をそのまま奥として使う飾り方もあり、この場合は盆棚に位牌と供物だけを移します。
四隅に青竹を立てて上部を縄や笹で結ぶのは、そこから内側が仏の場所だと示す結界の意味だとされています。
青竹が用意できなければ、真菰のござを敷くだけでも形は整います。
中ほどに供物、手前に精霊馬と水の子
中段には季節の果物、そうめん、団子、故人が好んだものなどを供え、手前には精霊馬・水の子・閼伽水(あかみず)といった、お迎えとお見送りにかかわる品を並べます。
手前をお参りする人の側と考えると、香炉・燭台・花立ても手前寄りに置くことになり、線香をあげる手が供物の上を通らずに済みます。
狭い盆棚で並べ方に迷ったら、火を使う仏具を最前列、食べ物を中、位牌を奥の順に固定してください。
位牌の並べ方は向かって右から古い代の順
位牌を複数お祀りしている家では、向かって右が上座という考え方で並べます。
もっとも古い代のご先祖を向かって右端に置き、代が新しくなるにつれて左へ移していく順番です。
夫婦の位牌なら向かって右に夫、左に妻とする並べ方が知られています。
ただしこれは全国一律の規則ではなく、お寺や地域で逆に扱う場合もあるため、迷ったら菩提寺に確かめてください。
位牌の数が盆棚に収まらないときは、全部を無理に並べる必要はありません。
仏壇にそのまま残しておいて、盆棚には新しい代の位牌だけを出す飾り方もあります。
その年に初盆を迎える方の位牌は、他の位牌より前か中央寄りに置いて分かりやすくする扱いが取られます。
なお、位牌の下に半紙や白布を敷くと、真菰の茎に脚を取られて倒れるのを防げます。
盆棚に置くものと、それぞれの位置
盆棚に必要なものは地域差が大きいので、まず奥・中・手前のどこに属する品かで覚えると配置に迷いません。
| 位置 | 置くもの | 補足 |
|---|---|---|
| 奥(上段) | ご本尊、位牌 | 仏壇のご本尊を奥として使ってもよい |
| 中ほど(中段) | 果物、そうめん、団子、季節の野菜、故人の好物 | 皿や高月(こうづき)に盛り、蓮の葉を敷く地域もある |
| 手前(下段) | 精霊馬、水の子、閼伽水、香炉、燭台、花立て | 火を使う仏具はいちばん手前 |
| 棚の周り | 盆提灯、ほおずき、ミソハギ | 提灯は左右一対、ほおずきは上部に吊るす |
きゅうりとなすで作る精霊馬は、きゅうりの馬で早くお迎えし、なすの牛でゆっくりお帰りいただくという意味で供えられます。
向きの決まりや置く時期は地域で分かれるので、精霊馬の意味と飾る時期で解説しています。
水の子は、なすときゅうりを細かく刻んで洗米と混ぜ、蓮の葉や器に盛ったお供えです。
そうめんは、束ねたまま器に置く供え方と、ゆでてつゆを添える供え方があり、荷を背負う紐に見立てるなどの言い伝えが各地に残っています。
その由来と供え方はお盆にそうめんを供える意味で解説しています。
棚の上部に吊るすほおずきについては、赤い実を提灯に見立てるという説がお盆にほおずきを飾る意味で解説されています。
曹洞宗・真言宗・浄土宗で変わる点と、変わらない点
宗派が違っても、奥にご本尊と位牌、手前に香炉と灯りという骨格は共通です。
変わるのは主に、奥に安置するご本尊と、供え方の細かい作法です。
同じ宗派でも寺院や地域で違いがあるため、以下は目安として読み、最終的には菩提寺の指示に従ってください。
曹洞宗
曹洞宗ではお釈迦様(釈迦牟尼仏)をご本尊とするため、盆棚の奥に掛軸を掛けるなら釈迦牟尼仏になります。
青竹を立てて真菰を敷き、精霊棚として整える飾り方が各地で受け継がれています。
仏壇側のご本尊と脇侍の並びは曹洞宗の仏壇の飾り方で解説しているので、盆棚の奥を仏壇と共用する場合はそちらを確かめてください。
真言宗
真言宗のご本尊は大日如来が中心で、盆棚の奥に掛軸を用意する場合も大日如来になります。
護摩や真言の作法にかかわる荘厳は寺院ごとの違いが出やすい部分なので、線香の本数や供物の盛り方まで細かく指示されることがあります。
仏壇の脇侍(わきじ)の配置は真言宗の仏壇の飾り方で解説しています。
浄土宗
浄土宗では阿弥陀如来をご本尊とし、盆棚の飾りは比較的簡素にまとめられます。
位牌と供物、香炉・燭台・花立ての三具足(みつぐそく)をそろえておけば、形としては足ります。
青竹や真菰を省いて、仏壇前の小机に白布を敷くだけの飾り方も行われています。
浄土真宗では盆棚を作らないのが基本です
浄土真宗は、亡くなった方はただちに阿弥陀如来の本願によって浄土へ往生すると説くため、ご先祖が家へ帰ってくるという前提で棚を設ける作法を取りません。
そのため精霊棚・精霊馬・迎え火といったお迎えの道具も基本的には用いず、お盆は仏壇の前で報恩のお参りをする期間として過ごします。
位牌の代わりに過去帳や法名軸をお祀りするのも、この考え方によるものです。
ただし実際には、地域の慣習として供物を整えたり提灯を出したりする家もあり、お寺の考え方も一律ではありません。浄土真宗のご家庭で飾りの範囲に迷ったときは、独自に判断せず菩提寺に尋ねてください。
コンパクトな盆棚は一段の小机で足ります
集合住宅で青竹も三段も置けない場合、仏壇の前に折りたたみの小机を1台出し、白布か真菰のござを敷けば盆棚として成り立ちます。
一段で組むときは奥・中・手前を前後の列で置き換えて、奥列に位牌、中列に供物の器、前列に香炉と燭台という並べ方にすると、上下の段と同じ意味になります。
机の幅が足りないときは、盆提灯を床置きにして棚の上の面積を供物に回してください。
市販の組立式の盆棚や、経机に載せる小型の供物台も流通しています。
サイズを選ぶときは、天板の奥行きが位牌の高さと香炉の直径を前後に並べられる寸法かどうかを先に測ってください。
奥行きが足りないと、位牌の真下に香炉を置くことになり、線香の煙が位牌に直接当たります。
棚そのものを用意できないときの代用については、盆棚とは何か・必要なものと代用方法で解説しています。
盆提灯を置く場所も、コンパクトな飾り方では先に決めておく部分です。
左右一対で飾る形と片方だけを飾る形があり、初盆の白提灯はその年だけ使うものなので、扱いを混同しないでください。
名前札や家紋の入れ方を含めて盆提灯の飾り方と置く場所で解説しています。
盆棚を飾る時期と片付け方
盆棚は、お盆に入る前日までに組み終えておくのが基本です。
お盆の期間は、7月13日から16日とする地域と、8月13日から16日とする地域に分かれるので、自分の土地の日程に合わせて12日中か13日の午前までに飾り付けを済ませます。
迎え火を焚く時間帯や日にちの地域差は迎え火・送り火はいつ焚くかで解説しています。
期間中は、水と花を毎日取り替え、生の果物や炊いたご飯は傷む前に下げてください。
下げたお供えは、仏様のお下がりとして家族でいただく形で構いません。
真夏なので、そうめんや団子を長時間置いたままにすると傷みます。
片付けは送り火のあと、16日の夕方以降か17日に行います。
青竹や真菰、精霊馬などの飾りは、お寺でお焚き上げを受け付けている場合はそちらに納め、受け付けがなければ白紙に包んで家庭ごみとして出す扱いが広く取られています。
川や海に流す送り方は、現在は多くの自治体で認められていないため、行う前に地元の決まりを確かめてください。
よくある質問
図解と家の言い伝えで並べ方が違うときはどちらに合わせますか
家に伝わっている並べ方を優先してください。
盆棚の飾り方は地域と寺院で差があり、全国共通の正解が定められているわけではありません。
図解は骨格の確認に使い、位牌の左右や供物の品目は菩提寺か家の年長者に確かめるのが確実な手順です。
位牌が6つあって盆棚に並びきりません
全部を並べなくて構いません。
仏壇にそのまま残し、盆棚には新しい代の位牌だけを出す飾り方が取られます。
並べる場合は向かって右から古い代の順にし、初盆の位牌があるときは前列か中央寄りに置いてください。
真菰のござが手に入らないときは白い布でもよいですか
白布で代用できます。
真菰は仏教の説話にかかわる草として敷かれてきたものですが、用意できないことを理由に盆棚を作らないより、白い布や半紙を敷いて整えるほうが形になります。
翌年から真菰に替えても差し支えありません。
盆棚のお供えは毎日新しくしますか
水と花は毎日替えてください。
果物や菓子は傷みの様子を見て替え、炊いたご飯やそうめんは供えたその日のうちに下げます。
期間中ずっと同じものを置き続けると、真夏の室温では傷みます。
盆棚に位牌を出したあと、仏壇の扉は閉めますか
開けたままにする扱いと、盆棚側にお参りするので閉じる扱いの両方があります。
仏壇のご本尊を盆棚の奥として使う飾り方では、扉は開けたままにします。
判断がつかないときは開けておいて構いません。
まとめ
盆棚の飾り方で最初に決めるのは段数ではなく、奥にご本尊と位牌、中ほどに供物、手前に精霊馬と香炉・燭台という前後の順序です。
この順序を守れば、三段の本格的な精霊棚でも、仏壇前に出した一段の小机でも同じ意味になります。
位牌は向かって右から古い代の順に並べるのが目安ですが、左右の扱いはお寺と地域で異なるため、菩提寺に確かめるのが確実です。
宗派で変わるのは主に奥に安置するご本尊と供え方の細部で、曹洞宗なら釈迦牟尼仏、真言宗なら大日如来、浄土宗なら阿弥陀如来が中心になります。
浄土真宗は盆棚を設けないのが基本で、位牌ではなく過去帳や法名軸をお祀りします。
飾り付けは12日から13日午前までに済ませ、片付けは送り火のあとに行ってください。
ぜひ本記事の奥・中・手前の配置表と宗派ごとの違いを参考に、ご自宅の置き場所に合う盆棚を整えてください。




