お盆にそうめんをお供えする意味とは?飾り方・供え方も解説

盆棚に供えるものを並べていくと、そうめんの束だけ置き方が分かりません。乾麺のまま束で供えている家もあれば、茹でて器に盛っている家もあります。
そうめんは、なすやきゅうりで作る精霊馬(しょうりょううま)の手綱に見立てたもの、という説がよく知られていて、乾麺の束をそのまま供える形と、茹でて一膳として供える形のどちらも作法から外れません。供える期間は、8月13日の迎え盆から16日の送り盆までが基本になります。
本記事では、そうめんを供える意味・乾麺と茹でた場合の飾り方・盆棚での置き場所・つゆの扱いを解説します。

いい仏具編集部
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お盆のそうめんは精霊馬の手綱という見立てが広く知られています
そうめんを供える理由には複数の言い伝えがあり、どれが正しいと決まっているものではありません。ただ、盆棚に精霊馬を飾る家では、そうめんを手綱や荷物を結ぶ紐に見立てる説明がいちばん通りやすいでしょう。
精霊馬の手綱・荷を束ねる紐として
きゅうりの馬となすの牛は、ご先祖様が行き帰りに乗る乗り物とされています。
乗り物があるなら手綱が必要で、細く白いそうめんがその役をあてられたという説明です。
あわせて、帰りに持ち帰るお供えものを束ねて背負わせる紐に見立てる言い方もあり、どちらも同じ発想から出ています。
精霊馬そのものの意味や置く向きは精霊馬とは?意味と由来・飾る時期で解説しています。
細く長い形に縁や幸せを重ねる見立て
細くて長い形から、ご先祖様との縁や家族の幸せが細く長く続くようにという願いを重ねる説も伝えられています。
長寿を願って長いものを食べる考え方は年越しそばと同じ流れで、お盆に限った話ではありません。
こうした見立ては言い伝えであって、そうめんを供えたことで何かが必ず叶うという性質のものではありません。
七夕の行事食から続いた流れ
旧暦では七夕と盂蘭盆(うらぼん)の時期が近く、七夕にそうめんを供えて食べる風習が各地にありました。
そうめんを天の川に見立てる言い方も、この流れから来ています。
加えて、乾麺は夏場でも常温で置ける保存食で、お客と法要が重なる時期に手間をかけずに用意できる食べ物でもありました。
信仰上の意味と、暑い盛りの家事の都合が重なって残った供え物だと考えると分かりやすいでしょう。
そうめんの飾り方は乾麺の束と茹でて盛る2タイプ
飾り方で迷うのは、袋や帯を付けたままの乾麺を供えるのか、調理してから供えるのかという点だけです。どちらも実際に行われている形なので、盆棚の作り方と手間のかけ方で選んでください。
| 供え方 | 見た目と扱い | 置ける時間 | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 乾麺の束のまま | 帯や麻紐で束ねた状態で、束を数本そろえて皿や半紙の上に置きます | お盆の期間中そのまま置けます | 日中留守にする家、精霊馬の手綱として飾る場合 |
| 茹でて器に盛る | 一口大に巻いて小鉢や椀に盛り、つゆを添えます | 夏場は数時間が限度で、その日のうちに下げます | 朝夕にお参りする家、御霊供膳(おりょうぐぜん)の一品として供える場合 |
乾麺のまま供える
束をほどかず、帯の付いた状態で供えてかまいません。
袋入りのものは袋から出して、小皿か半紙の上に2〜3束そろえて置くと形が整います。
箱入りの贈答品をいただいた場合は、箱のまま供えて、その後に開けて家族で食べる形でも失礼にはなりません。
茹でて器に盛る
茹でたそうめんは、水気をよく切って一口大に巻き、小鉢や高さのある器に盛ります。
つゆは別の小さな器に取り、箸を添えるとお膳としての形になります。
器を置く向きは、箸や取りやすい側をご先祖様のほうへ向けるのが基本で、人がいただくときと同じ向きに考えれば迷いません。
精霊馬の手綱として結ぶ
手綱に見立てる飾り方では、茹でたそうめんを数本まとめて、きゅうりの馬の首から背にかけて軽くのせるか、ゆるく結びます。
乾麺は折れやすいので、結ぶなら茹でたものを使ってください。
この飾り方をする家では、供物としてのそうめんを別に用意して、手綱の分と分けて置くこともあります。
盆棚のどこに置くか|供物は中段から手前に
そうめんを置く場所は、他の供物と同じ考え方で決まります。
位牌やご本尊に近い上段はご先祖様の座る場所として空け、果物や菓子、精霊馬などを並べる中段や手前の供物台にそうめんを置きます。
器に盛った場合は水の子やお膳と並べ、乾麺の束は皿にのせて安定させてください。
盆棚を組まず、仏壇の前に小さな台を出す形でも同じで、ご本尊とお位牌の前を塞がない位置に置けば問題ありません。
棚全体の段構成や、ほおずき・提灯との並べ方は盆棚の飾り方|配置の基本と宗派による違いで解説しています。
ほおずきを吊るして飾る家では、そうめんの器がその下に入らないようにすると、しずくや落下で汚れません。
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そうめんはいつ供える?迎え盆から送り盆まで
供える期間は、お盆そのものの期間と同じです。
8月盆の地域なら13日の迎え盆に供え始めて16日の送り盆まで、7月盆の地域なら7月13日から16日までがその期間にあたります。
地域によって初日と最終日の数え方が変わるため、家のしきたりや菩提寺の案内に合わせてください。
乾麺で供える場合は、13日の朝に他の供物と一緒に並べて、期間中はそのままにしておく形が一般的です。
茹でて供える場合は、毎日新しく用意するか、13日と16日など節目の日だけ一膳として供える形になります。
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つゆと薬味は精進の考え方で用意します
茹でて供えるときに迷うのが、めんつゆをどうするかという点でしょう。
仏前に供えるお膳は精進料理で用意するのが基本で、肉と魚を使わない考え方です。
市販のめんつゆはかつおだしを使ったものが多く、厳密に精進で考えるなら昆布やしいたけのだしに醤油とみりんを合わせたつゆに替えます。
ねぎやにんにくなど香りの強い薬味を避ける考え方もあり、この場合はつゆだけを添えて薬味を省きます。
ただし、ここまで厳密に整えるかどうかは家と地域で差があり、市販のつゆをそのまま添える家も普通にあります。
年忌法要の席と違って、お盆の供え物は家庭で用意するものなので、家のやり方に合わせてかまいません。
なお、御霊供膳を使うかどうかは宗派で扱いが分かれます。浄土真宗では霊供膳を用いないのが基本とされていますが、お寺により考え方が異なるため、菩提寺に確認すると確実です。
地域と家庭で供え方が分かれます
そうめんをお盆の供え物に必ず入れる、という全国共通の決まりはありません。
奈良の三輪そうめん、兵庫の播州そうめん、香川の小豆島そうめんのように産地のある食べ物で、夏に日常的に食べる土地ではお盆の膳にも自然に上がります。
一方で、団子や落雁、旬の果物を中心に供えて、そうめんは特に用意しない家庭もあります。
地域によっては、そうめんの代わりにうどんを供えたり、送り盆の日に家族でそうめんを食べる習慣が残っていたりします。
同じ市内でも集落や家によって違うので、嫁ぎ先や実家のやり方が分からないときは、義理の両親や親族に聞くのが早い方法です。
初盆以外の年の供え方をどこまで簡略にするかは初盆以外のお盆飾りはどうする?例年のお盆の飾り方で解説しています。
供えたそうめんは下げていただきます
茹でたそうめんは、供えたまま長く置くと夏場の室温で傷みます。
朝に供えたものは昼から夕方までに下げて、家族でいただいてください。
供えたものを下げて食べる行為はお下がりと呼ばれ、粗末にする行為ではありません。
むしろ、傷んだものを仏前に置き続けるほうが避けたい状態です。
乾麺の束は期間中そのままで問題なく、送り盆に片付けたあとは普通に調理して食べられます。
開封していない箱入りのものなら、お盆が明けてから日を置いて食べてもかまいません。
供物を川や海に流す送り方は、現在は環境の面から各自治体で扱いが決まっているので、地域の指示に従って処分してください。
よくある質問
そうめんは乾麺のまま供えても失礼になりませんか
失礼にはなりません。
束のまま供える形は各地で行われていて、日中家を空ける家庭では傷む心配もない方法です。
帯や麻紐で束ねた状態のまま、小皿か半紙にのせて供えてください。
つゆは必ず一緒に供えないといけませんか
茹でて一膳として供えるなら、つゆを小さな器に添えるとお膳の形が整います。
乾麺の束で供える場合はつゆは不要です。
つゆを添えるときは、かつおだしを避けて昆布やしいたけのだしで用意する考え方がありますが、家によって扱いが変わります。
茹でたそうめんは何日も供えたままにするのですか
その日のうちに下げます。
夏場は数時間で傷むため、朝供えて昼過ぎに下げる程度が目安になります。
毎日供えたい場合は、日ごとに新しく茹でて取り替えてください。
そうめんの代わりにうどんやひやむぎでも構いませんか
構いません。
地域によってはうどんを供える習慣があり、細く長い麺という点では同じ見立てになります。
家で食べ慣れているものを選んでください。
初盆でもそうめんの供え方は変わりますか
そうめんの供え方そのものは変わりません。
初盆では白提灯を飾り、お参りの人数が増えるといった違いが出ますが、供物の並べ方や器の向きは例年と同じ考え方でかまいません。
提灯の数や飾る位置は盆提灯の飾り方|置く場所・対と片方・名前札と家紋の入れ方で解説しています。
まとめ
お盆のそうめんは、精霊馬の手綱や荷を束ねる紐への見立て、細く長い縁への願い、七夕の行事食からの流れといった複数の言い伝えが重なった供え物です。
どの説が正しいかを決める必要はなく、乾麺の束をそのまま供えても、茹でて器に盛って供っても作法から外れません。
家を空ける時間が長いなら乾麺、朝夕にお参りできるなら茹でて一膳、という分け方で選べます。
置き場所は盆棚の中段から手前で、ご本尊とお位牌の前を塞がない位置に。
期間は迎え盆から送り盆までで、茹でたものはその日のうちに下げて家族でいただきます。
つゆの精進の考え方や、そうめんを供えるかどうか自体も、地域と家で差があるものです。
ぜひ本記事の乾麺と茹でた場合の比較表と、盆棚での置き場所の考え方を参考に、今年のお盆のそうめんの準備を進めてください。




